君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
「昨日はありがと」
何のことだかすぐに分かったようで、ああ、と頷く。
「そのときのお礼」
朝コンビニで買ったチョコを渡す。
「気にしなくていいのに、逆に申し訳ない」
「もらったままっていうのは、性格に合わなくて」
「……それじゃあ、ありがたくいただきます」
前にチョコは好きだと聞いたことがあるから、食べられるはず。
「げ!あと15分したら戻ってこいだってさ」
尚央が俺達に携帯の画面を向ける。
「そんなに忙しいんだ?早くご飯食べて手伝ってあげなきゃ」
営業終了時刻までは残り数時間。
ラストスパートでどの学年クラスも頑張りを見せているから、お客さんの取り合いなのかもしれない。
俺も水分補給はしっかりして、皆と急いでクラスに戻る。
この忙しなくて活気溢れる空気に身を委ねていれば、くすぶり続けるモヤモヤした感情のことを考えずに済むんだろうか。