君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
「お化け屋敷なら真っ直ぐ進めばすぐに着きますから。行こ、森野さん」
「っい、伊織君」
周りの男がまだ何か言ってるけど構わず突き進む。あの男達が追ってこないところまで行かないと、ああいうのは質が悪いって知ってる。
文化祭でテンション上がってるのは分かるけど、困ってる相手にしつこく絡むのってどうなわけ。
「伊織君、伊織君!」
「――――あ」
「西棟まで来ちゃったよ?もう追ってこないと思う」
ハッとして森野さんの手を離す。
「さっきの人達、宣伝してたら声かけてきて。上手くかわせずにいたとこに伊織君が来てくれたんだよね」
「そ、っか」
「でもああいうの、ありがちだよね。昨日も見かけた」
森野さんは視線を逸らして目を合わせようとしない。
「その、私先に戻るね」
「待って。俺も行く」
「さすがにもういないよ」