君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
「ああいうタイプは何回でも声かけてくるから。一応」
森野さんは視線を揺らめかせて、首を縦に振った。なんとなく距離を開けて東棟の教室まで戻る。
あいつらが森野さんにしつこく絡んでるのを見たとき、胸の奥底で黒い感情がわいた。
それに突き動かされて手を握って、ここまで来ていて。
この感情は、嫉妬?
俺はあいつらに嫉妬して、森野さんを攫ってきたのか?嫉妬って、何、それ。
「あ、もう片付け始めてるみたい。……伊織君?」
「もう終わりか、早いな」
「私達も片付けないと」
「……うん。俺、荷物持ってくる」
看板を壁に立てかけて、教室から離れる。森野さんに呼ばれてる気がしたけど、聞かなかったことにした。
人の流れに逆らって廊下を歩く。
片付けが終わったクラスから後夜祭のためにグラウンドに集合することになってる、でもそんな気分じゃなくてひたすら屋上を目指した。