君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
けどこれからすることに対する背徳感や罪悪感さえも、享楽と化してしまうのだ。
「伊織君」
カシャン、とフェンスに背中を預けた伊織君のネクタイに指をひっかける。
するりと解けば学校指定の安っぽいネクタイはアスファルトの上に落ちた。
遠くでセミの鳴き声が微かに聞こえる。もう鳴き始める時期か。
「いいよ。しよう、森野さん」
私のリボンも簡単に取られて、ついでにプチプチとボタンも外されていく。
間近にある甘く煮詰めた砂糖みたいな双眸に、欲情が見え隠れした。
その瞳に誘われるがまま伊織君の頬を両手で包み込み、赤く熟れたかさつきのない唇に自分のそれを重ね合わせる。
「…………っ……」
「っ、……」
時折唇の端からこぼれる吐息に、眩暈がしそうだ。
17歳、大人になりきれてないが故のあどけなさと特有の色気。
「い、おり君」
名前を呼ぶと綺麗な微笑みを見せてくれる。その笑顔に全身が熱くなった。