君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】

誘惑と蝶






もぐもぐもぐ。


今日も今日とて、彼は自分の席でひたすら甘いお菓子を食べ続けている。


授業間休憩のときは移動教室じゃない限り、だいたい好きなお菓子を次から次へと口に放り込んでく。


それだけ食べても太ってなくてモデル体型を維持してるんだから羨ましい、と斜め後ろの席から見てて思う。


伊織君が今食べているのは、白くてふわふわしたあれ。マシュマロだ。


甘ったるいお菓子とこれまた砂糖のように甘い雰囲気で中性的な顔立ちの伊織君の組み合わせは、最強と言っても過言じゃない。


まるで俳優が出演するCMみたいだ。


お菓子を頬張る伊織君をいつまでも見ていたいのだろう。


女の子達が『よかったら、これあげる』『食べな食べなー美味しいから』と机の上にカラフルなパッケージのチョコやらクッキーやらを置いてく。


あっという間にお菓子の山ができあがった。伊織君はマシュマロを摘まもうとしていた手を、今度はチョコの箱に伸ばす。


伊織君との接し方その1、甘いお菓子を与えすぎてはいけない。


今みたいにお菓子をあげていると、いつか体が砂糖で埋め尽くされちゃうんじゃないかって思うよ。心配だ。


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