君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
「皆早い時間から場所取るために必死なんだよ」
「私達も良い場所とらないと、どこがいいと思う?」
「それは心配すんな。いい場所知ってる」
「お、穴場スポット的なやつですか?」
「そういうこと。こっち」
昨日は遠慮した態度だったけど、何だかんだ打ち上げ花火は楽しみにしてたようで。自然と口角が上がってる。
今から連れていく場所は、その期待を裏切らないって約束できる。人の間を縫うように進み、屋台が並ぶ道を抜けて神社に到着。
「穴場って、この神社のこと?昨日肝試しで回ったけど、花火が見られるとこなんてあったっけ」
「正確にはここじゃなくて、もっと上」
石段を登り神社の傍にある細い道を歩いていく。
スマホの明かりを頼りに足元に注意しながら登って数分経ったところで。
「よし、着いた!」
「へぇー!すごい、こんなとこあったんだ」
どんな目的でこの開けた場所が作られたのかは分かんねぇけど、一応整備されてるところをみると、ちょっとした見晴台的な役割だったんだと思う。
俺達以外にもここの存在を知ってる人達がちらほら来てるけど、それでも隙間なく人が座ってる下に比べれば全然マシ。
「意外と高いとこまで来たね、私達」