君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】



「モールス信号」


香里はぱっぱと返してくる。ただ言葉のチョイスが面白い。何でそれを選んだんだ、っていう。


「うきわ」


「ワイキキビーチ」


「チョコ」


「こー、コスタリカ」


「お前海外行きたいわけ?」


ほぼ地名ばっかり返してくるよな。


「何となく今花火かー、夏だなー、海外のビーチ行きたいって考えてたらそうなった」


欲求がそのまま単語として出てきたのかよ。くだらないと2人で笑いながら話していたら打ち上げ花火開始のアナウンスが流れてきた。


周りの人達もカメラや携帯を手に持って空を見上げる。


少し経つとスピーカーから音楽とアナウンスが響き、それに合わせて勢いよく夜空に花が咲いた。


「うわぁ綺麗!」


香里も片手でスマホを持ち動画を撮りつつ、肉眼でもしっかり花火を見てる。器用だな。


「打ち上げ花火見たの今年初なんだ。やっぱり来てよかった」


花火に釘づけてちっとも俺の方を見やしない。ただ、その横顔を好きなだけ見ていられるから良しとする。

青や赤、緑の大きな花がいくつも夜空に咲き乱れていく。


ドン、ドン、ドンと打ち上げ花火特有の音も重く鳴る。

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