君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
交錯して涙
あっという間に夏休みが開けて、また1日授業と部活でみっちり詰まった生活に戻ることに。
1週間目は夏休みボケで授業中寝るやつが続出してたけど、それもだんだん減ってきている。
そうして徐々に体が元の生活リズムに戻ってきた頃、香里からする永瀬のあの甘ったるい匂いが濃くなったように感じる。
永瀬っていう甘い甘い蜜にたっぷり浸かって、全身に染み込んでる、みたいな。
反面、時折切な気な表情を見ることも多くなった。
永瀬といる時間が増えたなら香里的には嬉しいはず、なのに。『大丈夫か』と声をかけても『何でもないよ』っていう返事くらいしか言ってこない。
どんどん深みに嵌ってるみたいな状況に不安になったときもあったけど、上手く受け流される。
何で、こうなっているのか。何が起こっているのか。
その答えを知るのに、時間はかからなかった。
「やっべ忘れた!」
「何を忘れたわけー裕貴」
「明日提出の課題。机の中に入れっぱだった」
「どんまい。俺ら先に帰ってるぞ」
「おう。お疲れ」