君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】



その遊ぼう、って誘いに伊織は『いいよ』って返したんだろう。伊織の口癖だ。


「いいですよって答えたから話は終わりかと思ったら、だんだん違う方向に話題が逸れていって」


伊織の目からすっ……、と光が消えていく。


「最終的に、私だけと付き合って。私だけ愛して。他の女と遊ばないでよって言われたんだ」


私だけを愛して付き合って欲しい、か。


それを言ったら終わりだって、分かってたはずだ。あの人も。


「先輩に捕まれた手首、赤くなってる」


伊織の白い腕に色づいた、赤。


「握り潰す気だったのかよ、先輩」


「仕方ない。それに見た目ほど痛くないから」


「そういう問題じゃないだろ」


何でこうも自分に無頓着なんだ。


けど伊織に好意を寄せる女子が、全員あの先輩みたいな奴ってわけじゃない。


純粋に想ってくれてる子だっているし、悪意はない人達が大半だ。


でも今回の先輩みたいな人がいるのも事実。それを分かったうえで色んな人と関係を持つようなことをしてる伊織も悪い。

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