ツンデレ地味子の両手に華?!
「…ナンパなら、他当たれ」

そう捨て台詞を吐いたたけちゃんは、私の肩を抱き寄せ歩き出した。

歩きながら、恐る恐るたけちゃんを見上げる。

心配してくれてるんだろうけど、怒った顔をしているたけちゃんに、何て言ったらいいか、わからない。

「…美野里」

「…はい?」


マンションの部屋の前、ようやく足を止めたたけちゃんが口を開いた。

私は怒られるのが怖くて、上目使いになる。

「…たけちゃん。…えっ!?」

ぎゅっと抱き締められてしまい、動揺する。


「…なんで、俺の言葉無視して先に帰ったりなんかしたんだよ?」

「…だって、たけちゃんの回りには沢山の人がいて、邪魔しちゃいけないかなって、思って…」

私の言葉に、たけちゃんは、盛大な溜め息をついた。

「…ご、ごめんね…私、あの…」

「…ぁー、部屋に美野里を閉じ込めておきたい」

「…へ??」

その言葉に目を丸くする。

少し体を離したたけちゃんは、困ったような笑みを浮かべた。

「…たけちゃん?」

「…なんで、美野里って、そんなに可愛いの?」

「…たけちゃん。なんか、今日変だよ?」

私も困りながら、言葉を紡ぐ。

「…美野里、俺、お前の事、妹見たいに思ってた」

「…うん、私も、たけちゃんは、優しいお兄ちゃんだよ。いつもどんな時も…今日だって、私を助けてくれた」


「…俺、美野里の事が好きだよ」



「…私も好きだよ?」


「…違う。俺は、美野里を「ゴホン」


「「…」」


私のとなりの住人の咳払いで一気に離れた私たち。
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