ツンデレ地味子の両手に華?!
隣人が部屋の中に入った途端、二人で溜め息をつく。

そして、二人で見つめあい苦笑する。

「…たけちゃん。さっき…」

…何て言おうとしたの?

私はその後の言葉は出ず、ただ、たけちゃんを見つめた。

すると、たけちゃんは、困ったように笑って、私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

「…うん、まぁ、また今度話すよ」

「そ、そっか…わかった。それじゃあ、おやすみなさい。…今日は助けてくれてありがとう」

そう言うと、私は自分の部屋に入ろうとした。

「…美野里」

「…ん?どうしたの?」

ドアノブにてをかけたまま、たけちゃんを見やった。

「…俺はいつでも、どんなときでも、美野里の味方だから。どんなものからも、お前を守るから、それだけは覚えてろ」

そう言って優しい笑みを浮かべた。

私はその優しい笑みが、本当に大好きだ。

「…ありがとう。…おやすみなさい」

「…おやすみ」

私達は、それぞれ部屋の中に入っていった。

…。

ドアを閉めた途端、私はその場に座り込み、胸を押さえた。

心臓がうるさい。

抱き締められた体が何だか熱い。

私を慰めてくれるとき、よく抱き締めてくれたたけちゃん。

でも、今日のはなんだか、いつもと違った。

私を見下ろすその瞳もまた違った。

…たけちゃんが、『男の人』に見えた。

なんで?どうして?

たけちゃんは、私に何を言おうとしたの?


こんなことは生まれてはじめてで、全然わからなかった。

< 12 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop