ツンデレ地味子の両手に華?!
説明するのに四苦八苦。

「…たかが美容師が、わざわざ送ったりするかな?」

「…そうだけど、何て言ったらいいのか」

返事に困り果て、俯いてしまった私。

「…ごめん」

突然、頭上からたけちゃんの声が聞こえてきた。

私は驚いて顔をあげるとそのまま固まってしまった。

…近い、近い。

私とたけちゃんの顔が、すごく近い。

「…美野里の彼氏でもないのに、根掘り葉掘り聞きすぎた」

「…ぇ、ぃや、その。心配してくれたんだよ、ね?」

…近い顔を離してください。

恥ずかしいです。

「…美野里」

…ドキッ。

と、心臓が跳ねた。

私の長い髪を少し握ると、自分の口に当てたたけちゃん。

その行動が、あまりにセクシーで。

たけちゃんて、こんな人だったっけ?

一度、たけちゃんを『男の人』だと意識して以来、見方が変わったのは、私の方かもしれない。

「…美野里の髪、元々綺麗だけど、もっと綺麗になったな」

「…ぇっと、そ、そうかな?」

ドギマギしながら答える。

静まれ心臓。

…その時だった。

…ぐーーーーーっ!!!

私のお腹が、ロビーに響き渡った。

あー!もぅ!穴があったら入りたい!!

「…ぷ!あはははは」

それを聞いたたけちゃんは、豪快に笑いだした。

「…もぅ、笑いすぎだよ。たけちゃん。」

「…よし、飯いこう。今日は俺の奢り」

「…え、あ、ちょっとたけちゃん。」

笑いながら、たけちゃんは、私を外に連れ出した。
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