石川くんにお願い!


私を慰めてくれているんだろうか。イケメン界の神か。すごいよ。石川くんかっこいい

そう思ったまさにその瞬間


涙をなぞっていたはずの手がいつのまにか頭の後ろにきたかと思えば、グッと力強く押さえつけられた。

…え

何が起こったのか全く分からない。
ふんわりと唇に何かが触れて石川くんの長い睫毛が目の前で揺れてる…


そう冷静に考えていればすぐに深いものになった。


「…ふっ!!」

ええええええええええええ
これキスじゃんっっっっ!!


なんの迷いもなくきた甘い”それ”に、私はどうすることもできなくて…彼にされるがまま

「…っ…っ!」

いやいや…私好きな人としかこういう事したことないよ。ほんとだよ。


だけど拒否する暇もなく、息付く暇もないまま私は石川ワールドに翻弄され始めた


…なんだろう…


こんなキス…っしたことないっ


ただ唇を重ねただけなのに、身体中に電気が走ったみたいな感触に私はただ酔いしれるだけ。



唇が離れて…トロンとした目で彼を見つめていたら、雄の顔した石川くんがペロリと舌舐めずりをした。


あ…やばい
かっこいい…

「…ほら…ね?」

優しい笑顔に私の心臓がドキリと響く。


「…あ、…あの…その」
「体力的にきついからちょっと遊ぶだけでいい?」


そんな形だけの質問に


え?遊ぶ?

と思っていたらいきなり手が差し出された

「…え…」

「…流石に知らない子に押し倒されたのは初めてだよ。たまにはいいかな」

「いや…あ、あのま、まって」

これは…


身体が何をするのか察知して一気に嫌な記憶が蘇った。


いやだ…だめ…やめて



「…い、いやっ!!」

先程とは一転


キスに身を任せた女がいきなりそう叫んだので、石川くんの手がそれ以降ぴたりと止まる。

そして何かを察知したように私の顔をじっとみた。

ガクガクと震える身体


大ちゃんはこんな時優しく抱きしめてくれた
そんなの嘘だったから思い出しても仕方ないのだけれど。


「……身体が怖がってるんだね。何か嫌な思い出でもあるのかな?心配しなくてももうしないから深呼吸して」



こんな自分勝手な女にそう囁いた石川くんは、私からソッと離れる。



「あ、ご、ごめんなさ」

「…お望みなら願いを叶えてあげれるけど、そういう精神的なことは専門外かな…」

ごめんね

何も謝る必要がないのに謝罪してきた彼はパンパンとお尻の砂を払って私を置いていこうとした。



…だめだ…この人を逃したら私に未来はないっ!!


ガシッ

絶対絶対離すもんか!

そんな気持ちで彼の腕をしっかりと掴み力強く引き止める。


「ま、まってください!」

「いや…待ってと言われても…」

「神様仏様石川様!!!どうか拙者をお救いくだされ!!」

「…せ、拙者…」


どうにか面倒くさい女だと言うことを和らげようと、ボケを入れてみたけど余計な真似だったか…

しかし私の思惑通りクスッと笑った彼がソッと髪を撫でてくる。その指だけでピクリと反応してしまうくらいフェロモン。

だから今度は真面目な顔に戻した。



「…お願いします。精神的なことはどうでもいいの。どうにか彼氏と親友を見返したいそれだけですっ!助けてください!!」

< 6 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop