借金のカタに取られました
会社では時々、同期の三人でご飯を食べに行ったりした。
海外渉外部の桐谷(きりや)君とマーケティング部の忍田(しのだ)さんだ。
二人は優秀で、仕事も忙しくなかなかスケジュールが合わなかったが、その分、積もる話に花が咲いた。
桐谷君の海外とのやり取りの話や、忍田さんの難解な仕事の話を聞いていて心が躍った。
大抵、千那は聞き役に徹して二人の話を興味深く聞いていた。
同じ会社でも部署が違うと、こんなにも仕事内容が違うのかと今更ながらに考えさせられたり、二人ともこの会社に就職するために努力したことを聞くと、自分は甘いのだなと認識した。
自分は、就職試験も受けずに、それどころか就職活動もしたことがない。
聞くところに寄ると、箕島コーポレーションは働きやすさから、学生には人気があるらしかった。上場はしていないが、広く学生には知られていた。
どの部分が 「働きやすさ」なのか一度も就職したことがない千那には、ピンと来なかったが、真子と話していると環境的に恵まれていることが理解できた。
土日祝は必ず休みで、仕事の都合上出勤すれば代休は与えられ、残業はなかった。ないというより原則、することを禁止されていた。ダラダラ働くよりは効率よく働くことを常々言われていた。航平らしい考えだ。
昼休みも、自分の仕事の都合で好きな時間に取ることが出来、月一回の朝礼以外は時間差出勤も許されていた。
真子の会社ではサービス残業は常習化し、夜遅くまで働いていても始業時間は同じで、毎日通勤電車に辟易していた。三十分でも遅く出勤出来たら違うのにと、口癖のように言っていた。
当たり前だと思っていた事が、世間では違っていて、千那は自分の世間知らずさを思い知らされる。そんなことに気づかせてくれた航平には、感謝している。あのまま家庭に入っていたら、何もわからないただの世間知らずになっていただろう。
海外渉外部の桐谷(きりや)君とマーケティング部の忍田(しのだ)さんだ。
二人は優秀で、仕事も忙しくなかなかスケジュールが合わなかったが、その分、積もる話に花が咲いた。
桐谷君の海外とのやり取りの話や、忍田さんの難解な仕事の話を聞いていて心が躍った。
大抵、千那は聞き役に徹して二人の話を興味深く聞いていた。
同じ会社でも部署が違うと、こんなにも仕事内容が違うのかと今更ながらに考えさせられたり、二人ともこの会社に就職するために努力したことを聞くと、自分は甘いのだなと認識した。
自分は、就職試験も受けずに、それどころか就職活動もしたことがない。
聞くところに寄ると、箕島コーポレーションは働きやすさから、学生には人気があるらしかった。上場はしていないが、広く学生には知られていた。
どの部分が 「働きやすさ」なのか一度も就職したことがない千那には、ピンと来なかったが、真子と話していると環境的に恵まれていることが理解できた。
土日祝は必ず休みで、仕事の都合上出勤すれば代休は与えられ、残業はなかった。ないというより原則、することを禁止されていた。ダラダラ働くよりは効率よく働くことを常々言われていた。航平らしい考えだ。
昼休みも、自分の仕事の都合で好きな時間に取ることが出来、月一回の朝礼以外は時間差出勤も許されていた。
真子の会社ではサービス残業は常習化し、夜遅くまで働いていても始業時間は同じで、毎日通勤電車に辟易していた。三十分でも遅く出勤出来たら違うのにと、口癖のように言っていた。
当たり前だと思っていた事が、世間では違っていて、千那は自分の世間知らずさを思い知らされる。そんなことに気づかせてくれた航平には、感謝している。あのまま家庭に入っていたら、何もわからないただの世間知らずになっていただろう。