借金のカタに取られました
「風呂に入るぞ」と言われて千那は驚く。
確かに覚悟はしていたけど、裸でお風呂に入るのは抵抗がある。黙っていると
「お前、また忘れている。返事は?」
仕方なく
「はい」と答えた。
お風呂の脱衣場まで手を引っ張られ頭が真っ白になる。
「脱げ」
返事をしないとまた怒られる。
「……はい」
仕方なく衣服を脱ぎ始める。
もうここまできたら仕方がない。
今日、逃れられても、この男と結婚するのだから遅かれ早かれこうなるのだ。諦めよう、これまでの人生で諦めることには慣れている。嫌なことはさっさと済ませた方がいい。思い切って衣服を脱ぐ。
全て脱ぎ捨てると
「ふーん」と言いながら身体を一周させて見る。
「いいよ、風呂入って」
「え?」
「だから、風呂入れって」
「はい」
航平は、千那を残し脱衣場から出て行った。
何だったのだろう。裸を見ておいて何もしなかったなんて。さっきの出来事に少し震えながら湯船につかる。
これは今晩とうとう……。緊張で身体がこわばった。
寝室にはダブルベッドが二つ、隙間無く横並びに置いてあり、かなり広くて贅沢な環境だ。
航平は既にベッドに上に寝ころんで、上向きでスマホの画面を触っている。
千那は恐る恐る隣に入る。
その途端、バチっと電気が消され真っ暗になる。
恐怖で息を潜め身構える。しばらくしても
(ん? 動きがない。このまま寝てくれるのかな?)とうっすら目を開けると航平の顔が間近にあって驚く。
「千那、キスしたことあるのか?」
「あ、あります」
「ふーん」と疑いの目で馬鹿にした様子だ。
私だって付き合ったことがある。嘘じゃない。キスくらいしたことある。
「どんな?」
「どんなって。普通のキスです」
「普通って?」
考えていると唇に感触を感じて驚く。
(とうとう……。もう仕方がない。覚悟を決めよう)と目をつぶっていると
「こんなキスか?」
唇と唇が触れただけの軽いキスだった。まさに千那が同級生と経験したキスだった。
図星だったので黙っていると
「やっぱりな。この程度だと思ったよ」
「言っておくけど、俺バージンとか勘弁だからさ。今まで何人もの女を抱いてきたけど、バージンはダメだね。マグロだし、技はねえし、一方通行でさ。だから今では向こうから抱いてくれって女しか相手しないんだよ」
「私、バージンじゃない」
強がって嘘をついてみた。見透かされているとわかっていながら。
すると鼻で笑いながら
「さっきの身体を見て一発でわかったよ。バージンだろ?」
核心をつかれ何も言えずにいると
「だから、お前が高校を卒業するまで色々と教育する。そしてお前が自ら俺に抱いて欲しいと言わせるようにす
るつもりだ。ガキは勘弁だからな」
「教育って?」
「お前さ、初めてのセックスで気持ちいいと思っているのか? そんなのドラマや本での世界の作り話だよ。男が優しくしても痛いものなのだよ。俺だって痛いってわかっていてやりたくねぇし、そんなもんじゃ俺も気持ち良くねぇし。受け入れ態勢が整うまではやらねぇよ。その代わりそうなるように慣らしてやるよ」航平は続ける。
「お前、俺に抱かれたいか?」
心の中ではもちろんノーだ。
それに、初めて抱かれたい相手ではないのは確かだったが、はっきり言える立場でもなく黙っていると
「俺は自ら抱かれたいっていう女しか抱かない主義だ」
男に生まれてこの台詞を言える人は一体どのくらいいるのだろう、もてない男には初めから言えない言葉だし、相当な自信家なのだろうと考えていると、昨日からの色々な出来事も含めて頭が処理しきれず、めまいがする。
めまいを収めようと目を閉じて下を向く。
「おい、大丈夫か?」と優しく声を掛けてくれる。
「あの、航平。私、あなたのこと何も知らないんだけど」と怖々と言ってみた。
「これからお互いを知ればいいさ。お前は俺の言うとおりにすればいいんだよ」
「はい」
ここで返事をしないとまた叱られてしまうし、もう条件反射で返事をするようになってしまった自分に気づいた。
「良い子だ」と頭を撫でて、千那の両肩を真正面から掴む。
どんどんと航平の顔が近づいてくる。
先程の優しいキスをされるのかと、安心していると激しくなる。
「うっっ……」と突然のことで思わず声が出てしまい、両手で航平を押し戻そうとした。
しかし、その手は遮るように手首を掴まれ動けなくなる。
口の中に航平の舌先が動き回り、どうしたらいいかわからず、なされるがまま身体を預けていると、航平の身体が離れた。
「もう一回同じ事をするから、次は俺が舌を入れたら、自分の舌を絡ませろ。じっとしているんじゃないぞ」
これって、もしかして教育ってやつ?
考えている間に再び舌が入ってくる。航平の舌がヌルリと滑り込むのを感じ慌てて自分の舌で迎え入れる。
絡ませるってこれでいいの?
合っているの?
正解がわからないので、航平と同じ舌の動きをする。
二人の舌は絡み合い、千那の舌先は再び航平に吸い付かれる。
ズズズっと音を立てた後、ようやく航平の身体が離れた。
「よし、今日はここまで。やはりバージンは時間がかかりそうだな。ま、半年あればなんとかなるだろ。おやすみ」
とパチンと電気を消してしまった。
残された千那は呆然としながら、舌に残された生暖かい感触を感じ横になり目を閉じた。
確かに覚悟はしていたけど、裸でお風呂に入るのは抵抗がある。黙っていると
「お前、また忘れている。返事は?」
仕方なく
「はい」と答えた。
お風呂の脱衣場まで手を引っ張られ頭が真っ白になる。
「脱げ」
返事をしないとまた怒られる。
「……はい」
仕方なく衣服を脱ぎ始める。
もうここまできたら仕方がない。
今日、逃れられても、この男と結婚するのだから遅かれ早かれこうなるのだ。諦めよう、これまでの人生で諦めることには慣れている。嫌なことはさっさと済ませた方がいい。思い切って衣服を脱ぐ。
全て脱ぎ捨てると
「ふーん」と言いながら身体を一周させて見る。
「いいよ、風呂入って」
「え?」
「だから、風呂入れって」
「はい」
航平は、千那を残し脱衣場から出て行った。
何だったのだろう。裸を見ておいて何もしなかったなんて。さっきの出来事に少し震えながら湯船につかる。
これは今晩とうとう……。緊張で身体がこわばった。
寝室にはダブルベッドが二つ、隙間無く横並びに置いてあり、かなり広くて贅沢な環境だ。
航平は既にベッドに上に寝ころんで、上向きでスマホの画面を触っている。
千那は恐る恐る隣に入る。
その途端、バチっと電気が消され真っ暗になる。
恐怖で息を潜め身構える。しばらくしても
(ん? 動きがない。このまま寝てくれるのかな?)とうっすら目を開けると航平の顔が間近にあって驚く。
「千那、キスしたことあるのか?」
「あ、あります」
「ふーん」と疑いの目で馬鹿にした様子だ。
私だって付き合ったことがある。嘘じゃない。キスくらいしたことある。
「どんな?」
「どんなって。普通のキスです」
「普通って?」
考えていると唇に感触を感じて驚く。
(とうとう……。もう仕方がない。覚悟を決めよう)と目をつぶっていると
「こんなキスか?」
唇と唇が触れただけの軽いキスだった。まさに千那が同級生と経験したキスだった。
図星だったので黙っていると
「やっぱりな。この程度だと思ったよ」
「言っておくけど、俺バージンとか勘弁だからさ。今まで何人もの女を抱いてきたけど、バージンはダメだね。マグロだし、技はねえし、一方通行でさ。だから今では向こうから抱いてくれって女しか相手しないんだよ」
「私、バージンじゃない」
強がって嘘をついてみた。見透かされているとわかっていながら。
すると鼻で笑いながら
「さっきの身体を見て一発でわかったよ。バージンだろ?」
核心をつかれ何も言えずにいると
「だから、お前が高校を卒業するまで色々と教育する。そしてお前が自ら俺に抱いて欲しいと言わせるようにす
るつもりだ。ガキは勘弁だからな」
「教育って?」
「お前さ、初めてのセックスで気持ちいいと思っているのか? そんなのドラマや本での世界の作り話だよ。男が優しくしても痛いものなのだよ。俺だって痛いってわかっていてやりたくねぇし、そんなもんじゃ俺も気持ち良くねぇし。受け入れ態勢が整うまではやらねぇよ。その代わりそうなるように慣らしてやるよ」航平は続ける。
「お前、俺に抱かれたいか?」
心の中ではもちろんノーだ。
それに、初めて抱かれたい相手ではないのは確かだったが、はっきり言える立場でもなく黙っていると
「俺は自ら抱かれたいっていう女しか抱かない主義だ」
男に生まれてこの台詞を言える人は一体どのくらいいるのだろう、もてない男には初めから言えない言葉だし、相当な自信家なのだろうと考えていると、昨日からの色々な出来事も含めて頭が処理しきれず、めまいがする。
めまいを収めようと目を閉じて下を向く。
「おい、大丈夫か?」と優しく声を掛けてくれる。
「あの、航平。私、あなたのこと何も知らないんだけど」と怖々と言ってみた。
「これからお互いを知ればいいさ。お前は俺の言うとおりにすればいいんだよ」
「はい」
ここで返事をしないとまた叱られてしまうし、もう条件反射で返事をするようになってしまった自分に気づいた。
「良い子だ」と頭を撫でて、千那の両肩を真正面から掴む。
どんどんと航平の顔が近づいてくる。
先程の優しいキスをされるのかと、安心していると激しくなる。
「うっっ……」と突然のことで思わず声が出てしまい、両手で航平を押し戻そうとした。
しかし、その手は遮るように手首を掴まれ動けなくなる。
口の中に航平の舌先が動き回り、どうしたらいいかわからず、なされるがまま身体を預けていると、航平の身体が離れた。
「もう一回同じ事をするから、次は俺が舌を入れたら、自分の舌を絡ませろ。じっとしているんじゃないぞ」
これって、もしかして教育ってやつ?
考えている間に再び舌が入ってくる。航平の舌がヌルリと滑り込むのを感じ慌てて自分の舌で迎え入れる。
絡ませるってこれでいいの?
合っているの?
正解がわからないので、航平と同じ舌の動きをする。
二人の舌は絡み合い、千那の舌先は再び航平に吸い付かれる。
ズズズっと音を立てた後、ようやく航平の身体が離れた。
「よし、今日はここまで。やはりバージンは時間がかかりそうだな。ま、半年あればなんとかなるだろ。おやすみ」
とパチンと電気を消してしまった。
残された千那は呆然としながら、舌に残された生暖かい感触を感じ横になり目を閉じた。