その恋、あと3センチ
「あー。コレ思い違いだったらちょー恥ずいな。」
先生がぼそりと言う。
思い違いじゃないよ。
違う違う。
けどね、心配なんだよ。
先生がなりたかった教師が、もしもまた辞めることになったら?
私そんな責任とれないよ。
けど、先生との気持ちも譲れない。
どうしよう。
「ね、桜。」
もんもんとしている私に先生が声をかける。
「余計なことは何も考えなくていいから、桜の気持ちが知りたい」
先生、反則だよ…………
いつもは、桜"ちゃん"って呼ぶのに。
いきなり呼び捨てするところも、こんな時ばっかり優しいところも。
全部全部、ずるい。
「……………好き」
ボソリと呟いたそれは、先生の耳に届いただろうか。