その恋、あと3センチ
「すみません、大丈夫です。
副社長はお仕事に戻っていただいて……」
「なんで?おなじ部署だから手伝っても大丈夫だよ?」
あの頃とは違う口調でそういった。
…………いや、一緒だ。
あの頃の、ほかの生徒に対する口調と。
…………やっぱり忘れてる。
「すみません、ありがとうございます」
「倉庫でいいんだよね?」
「はい」
私がもう一つのダンボールを持ち上げると、先生は歩き始めた。
それに私もついていく。