その恋、あと3センチ
倉庫で2人。
死角になっている端の方で、2人で隣になって座った。
「…そうだよな。
……学校辞めたあとすぐ叔父さんに誘われたんだよ、ここでの仕事。
多分俺が辞めたことが真っ先に叔父さんに連絡がいったんだと思う。
んでまぁ、すぐ県外に行ってこの企業の支店で働いてて……で副社長の話が来たってこと。」
半分こねみたいなもんだけど。と、なんだか納得のいかないような顔で先生は言った。
「そっか……」
先生の意思で、消えたわけじゃなかった……って事だよね?
「てか、先生ってやめろ。」
するとムスッとした顔で言う先生。
「無理ですよ。そんなすぐなんて……」
だってずっと、先生って呼んできた。
先生がいなかった5年間も心の中で思ってた。
先生、信じてるよって。
「ったく。
…桜はなんでココに?」
先生はそんな私の頭を優しく撫でるとそう聞いてきた。
なんでって……
「先生に、会えるかなって……」
恥ずかしくなって、俯いた。
ああ、なんて不純な動機。