まいにち、しののめ。
10月9日(日)谷澤智文演奏会ニ想フ

こんばんは。生地をこねて挽肉もこねて豚まん包み終えたなう、東雲です。目指せ、551蓬莱。(大阪名物の豚まん屋さん(東雲理解による)。大阪〜神戸の主要駅で販売されている。焼売も美味。)あれ、551って中華料理店なの?お弁当屋さん?元々、何屋さん?(笑)あとでググッとしてみよう。

もうすぐ旦那が合唱団の練習から帰って来るので、昨日の続きをサクッと。


3月の終わりに、谷澤智文くんのライブに行ってきました。キャリアの中では『君に届け』の主題歌が一番知られているかな。デビュー当時は今よりもう少しメジャー寄りでポップな音楽をやっていたけど、現在は音を幾重にも重ねた深くて厚みのある曲を作っています。宇宙へ飛んで行けそうな感じ。いわゆる宅録系です。自分の納得いくまで時間をかけて丁寧に作られた音の世界。CDのプレイボタンを押すと一気に谷澤くんの紡ぎ出す物語の世界に迷い込んでしまうような。それは完全に作り込まれた世界観で、まさにわたしの大好物(笑)。

で、そのライブ、谷澤くんのワンマンではなくて。主催は谷澤くんなんだけど、もう1人、ゲストアーティストが来ていた。それは谷澤くんとは正反対の、陽気で、明るくて、良い具合にテキトーで(笑)土と太陽の匂いのする音楽をやる人だったんです。硬と軟、陰と陽、無機と有機、重と軽、、そんな感じかなぁ。とにかく、真逆。岩崎慧というアーティストなんですが。

そのライブ、1人で観に行ったわけではなく、友人をひとり誘って行ったんです。葵さんがそんなに好きなら興味があるから一緒に行きたいって言ってくれて。

わたしはもちろん谷澤くんのファンなので、谷澤くんの音楽はよく知った上でそのライブに参加してる。けど、友人はそうではない。谷澤くんも、岩崎さんも、どちらもその日が初めまして、のフラットな状態で参加してる。

で、前座の岩崎さんの演奏で何が起きたかと言うと。会場が、大盛り上がりになったんです。ほぼ、谷澤くんファンの会場なのに。(笑)

ギター一本だけ持ってアメリカ大陸をヒッチハイクして回ったそうで、肝が座ってるというか堂に入ってるというか(まぁそれは谷澤くんも同じこと(世界旅行)をして来たんだけれども)、岩崎さん目当てに来たわけではない客を相手に、皆がものすごーく「楽しめる」ライブを演ってくれたんですね。乗せるのが上手い、ってだけじゃない。経験に裏打ちされた、その場の持ってき方が半端ないなーと思いました。ギター一本あれば、何をどんな風にでもできる、適当にその場に居合わせた人と楽しく音楽を共有できる、そんな彼のパフォーマンスはとても素敵でした。

オリジナル曲だけではなく、誰でもわかるスタンダードナンバーを(スティービーワンダーだったかな…)演ってくれて、最後は、みんな声出せ!手を上げろ!って盛り上げる。場が温まりました。前座の役目、完璧に果たしてくれた。温まり、過ぎたくらい(笑)

谷澤くんの演奏は、わたしはもちろん楽しめたけど、やはり「鑑賞する」ものであって。谷澤智文を好きな人が、よーく味わって、浸って、世界観を楽しむものであって。「初めて聞く」もしくは「とくに興味がない」人にとっては「???よく分からない…」って、なりがち、なんですよねー…。聴く人を選ぶ。

この時、音楽の質って、楽曲の価値って、なんだろう、と思いました。

そのライブで観客を一番「沸かせた」のは岩崎さんだと、わたし自身が素直に感じてしまったから。谷澤ファンの私でさえそうなのだから、フラットな立場で参加してる友人なんて、きっと言わずもがな。(わかりませんが)

ファンも、ファンでない人も、趣味嗜好を超えて、みんなが楽しめる音楽がそこにあった。それは雑で、荒くて、途中で止まったりやり直したりして完成度の高いものとは言えなかったけど、一番、身体が自然に動いたのはあの曲だった。

それって、すごい力だなって。

頭空っぽにして楽しむ音楽って、良いもんだなー、ってその時初めて、その類の(荒い)音楽に魅せられたんです。もう、頭でどうこう考えるより先に身体が本能的に音に合わせて動くというかね。

丁寧に作られて整えられた音楽は、その緻密性であったり芸術性の高さを知ることで、そのベースに立つからこそ「優れた作品」と私の中で認定されていたけれども、「優れた」の観点ってそれだけじゃないんだな、と身体で納得させられた3月のライブでした。



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