放課後ハニー
1.ふつうの日
ともだちひゃくにんできるかな、なんて言ってたのは小さな子どもの頃だ。
高校生ともなれば、周りの全員と仲良くするなんてこと、無理だってよく分かってる。
40人に満たないクラス全員とだって無理なんだから、それ以上ができるはずない。
とはいえ、私は別にそれを気に病んでるわけじゃない。
これが当然だと思ってるし悲しくもない。
たとえば…そう、教室の真ん中で大きな声を上げて笑ってる林さん。
髪がすごく茶色い。スカートがすごく短い。あと、なんかメイクみたいのもしてるかも。
それに対して私は、髪だって黒いし。スカートだって膝丈だし。もちろんすっぴんだし。休み時間も席に座ってるし。
私は林さんが苦手だけど、林さんもそうだと思う。こういうのってお互い様だよね。
住む世界が違うっていうか。
私の友達はやっぱり地味だし、林さんの友達はやっぱり派手。うーん、これぞ住みわけ、て思うよね。
別にがり勉してるわけじゃないし、授業中に居眠りだって内職だってしてるけど、先生からの印象はやっぱり私=マジメだと思う。
問題起こさないもんね。
改めてそんなことを考えてたら、うっかり林さんたちの方を見ちゃってたらしい。
林さんと男子カーストトップの木下くんを中心に取り巻いてる数人。そのなかの。
取り巻いてるにしては微妙な距離感があるけど、茶色を超えて金に近い髪の毛の男子と目が合った。