spicy◇candy
隣で、自分の世界に入り浸りながらも歩を進める倉井を、俺はただぼんやり見つめた。好きなタイプだなんて聞かれたこともなければ、理想を人を伝えた事もない。

俺の過去は、女子と充実した生活なんて送ったことがなかったため、恋愛の質疑応答は特に苦手な分野であった。こんな時、彼女のいる大智なら、素直に「彼女」なんてカッコつけるだろうな。

その悩みを話せる存在など、今はひとつもなかった。真紀とは喧嘩をしてしまったから、相談できる相手もいない。

でも、俺は気になりつつあった。倉井というちょっと特殊な女子の事を。
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