spicy◇candy
俺はしばらくして、胸騒ぎがした。あれほどの健康優良児が欠席するはずはないと思ったが、やはり体調不良で欠席と連絡があったそうだ。

授業にいつもどおり望めなくなってしまったのは、そいつが休んだ事と、倉井が俺を嫌ったのではないかという心配が関係していた。

ノートに無意識に、藤谷の名前を書いてしまった。慌てて消しゴムを取りだそうとして、筆箱を落としてしまった。

教室に響き渡るのは、俺の筆箱からあふれだす筆記具たちの無情な炸裂音。一斉に注目を浴びてしまう。違う意味の白い目で見られている状況に、大崎先生は呆れたような、同情するような瞳で見下ろしていた。
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