spicy◇candy
雨は強くなる。俺は、ためらいなく濡れていた。雨の雑踏に混ざり、涙が溢れる。いっその事、今日は帰ろうと思い、立ち上がったその時。

「何やってんだよお前!」

力のある声。どこか聞いたことのある心地よさ。涙でしわくちゃのまま振り返ると、真紀が息を切らしてこちらを真っ直ぐ見つめていた。

何故だ……俺は彼を幻滅させてしまったはずなのに。
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