spicy◇candy
きっと、まだまだ俺の事を知らないし、彼自身も俺と似ていて、気難しくて話しにくい所があるのかもしれない。まるでそれは、倉井の性格と瓜二つだ。

踊り場での、倉井のあの目を俺は忘れはしない。きっと自分らしく主張が出来ず、あの性格だから反発したくても遠慮してしまい、出来なかったのだろう。

武都先輩の着替えの隣で、ユニフォームをやたらと爽やかに着こなす流石の男前を見て、同じ男として隣にいたくない気がした。

そんな俺の心を見透かしたのか、真紀は自分の服を見下ろし、

「こんなの似合うやつなんて先輩くらいだよ」

俺にだけ聞こえるサウンドを聞かせ、苦笑いを浮かべた。
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