spicy◇candy
その夜。

俺は、食卓を囲みながら考えていた。果たして俺が新しい高校に馴染めるのか。こんなにも一人でいることに慣れてしまった俺に、友達が作れるのか。

「兄ちゃん食わないの?しけた顔するなよ。転校先にもすぐ慣れるだろ」

隣で憎まれ口を挟むのは俺の弟、樹(イツキ)だ。こいつは昔から容量がよく、前向きさ故に何も考えず、兄である俺にもろくな励ましをくれた試しがない。

「大きなお世話だ。お前もどうせ緊張しているんだろ。」

憎まれ口には憎まれ口にお返しをする。たった今学んだ。
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