spicy◇candy
「ですよね……でも俺はなんも知りませんよ」

部室に広がるは汗と制汗剤、いわゆる運動部ならではの青春のにおいが俺の鼻にも刺激的だ。しかし、慣れっこなので嫌とは思わない。

真紀はユニフォームを畳みながら、俺に申し訳なさそうな顔をした。何故、彼が悩む必要があるのか?その時俺はそんな疑問が湧いた。

「雄大は何か聞いたか?先生が元気がない訳を」
「いや……悪い。分からないわ」

ありのままの意見だったが、先輩に視線を移すと、もっと気の効いた返答を期待していたらしく、期待はずれの苦い顔で俺を見ていた。何だか、今日ばかりはここに居たくない。不覚にもそう思うと、2人に別れを告げて部室を出た。
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