spicy◇candy
「あれ、雄大何してんだよ。早く入らないと先に練習始めちまうぞ」

突然、真紀が扉を開けたので、俺は間抜けにも腰を抜かしそうになった。なんと情けないところを見られてしまったんだろう。

不思議そうに、部室に入るよう彼は促してくれた。俺は高鳴る胸のドキドキを抑えることに必死で、会話を繰り出す事を忘れていた。

武都先輩には、至極当然のように睨まれた。俺の悩みなどつゆ知らずな部活のメンバーは、楽しそうに談笑に花を咲かせていた。

皆のこの空気を壊さないよう、その日は先生の話をしないと決めた。

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