spicy◇candy
一夜明けた次の日。

俺は極楽の睡眠に浸っていたら、それをすぐに打ち破ったのは、母のバタバタとした母の支度と弟の無駄にテンションをあげたアラームレベルの大声だった。

あくびを一つ。着替えにも身が入らない中、うだつの上がらない顔を外に向けた。太陽の光は不思議。

目をくらませるのか、目を覚まさせるのか分からないが俺はとにかく陽の光に目を細めていたい気がした。

玄関で待っていた母の顔には、緊張感は微塵も感じられなかった。むしろ俺の転校と入学を心から応援している真剣一筋の瞳でこう言った。

「さぁ、行こう。緊張していても始まらないでしょう」
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