spicy◇candy
二つの湯のみが、熱くなる。藤谷の口調の熱の入り方の如く。気持ちの整理が追いつかないまま、ボケたような気持ちでお茶を注いで運ぶ。
何に気を使ったのか、家族3人は既に各部屋で眠りについていた。でも、樹の生意気な質問攻めがないのも、今は寂しい思いと有難い思いが半々くらいであった。
気が紛れる程度に、俺は茶々を弟からいれられるのは嫌いじゃなかったのだ。ただ夜にそんな事をされるのは藤谷の方がうるさく思うだろうし、やはり好都合だった。
「……通話、すんだか」
「えぇまあ。ごめんねあんたに心配かけたくないんだけど」
藤谷は、申し訳なさそうにスマホから俺に視線を移した。今は少しくらい心配かけろ、なんて言えなかったのが、男らしくなくて俺は唇を噛んだ。
何に気を使ったのか、家族3人は既に各部屋で眠りについていた。でも、樹の生意気な質問攻めがないのも、今は寂しい思いと有難い思いが半々くらいであった。
気が紛れる程度に、俺は茶々を弟からいれられるのは嫌いじゃなかったのだ。ただ夜にそんな事をされるのは藤谷の方がうるさく思うだろうし、やはり好都合だった。
「……通話、すんだか」
「えぇまあ。ごめんねあんたに心配かけたくないんだけど」
藤谷は、申し訳なさそうにスマホから俺に視線を移した。今は少しくらい心配かけろ、なんて言えなかったのが、男らしくなくて俺は唇を噛んだ。