spicy◇candy
一つの部屋に、男女が1組。完全なる密室シチュエーションに、俺は緊張と違和感に苛まれていた。珍しく弱気なこいつの事だ。男として流石にほっておけない。

いつの間にか時計は11時を示していた。俺は藤谷が、まだお茶に手をつけていないのを見て、告げた。

「飲まないのなら、無理に飲む必要は無いぞ」

藤谷は俺を普段とは違う、弱々しい光の瞳で見ていた。そして、やっとの事で彼女は冷めきったお茶をすすっていた。

「いつもきついこと言うけど、あんたはこんな私でも優しくしてくれるのね。ちょっと意外。」

そんな言葉が自然と出た藤谷に、俺はそっと頷いていた。
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