spicy◇candy
俺と藤谷は、こうしているのも退屈なことに気づき、テレビをつけた。ぎこちなくリモコンを持っている俺の隣で、藤谷はスクバから大学の過去問を、必死に読んでいた。

なんだ、人並みの賢さ持ってるんじゃん。少しだけ感心してしまった俺。藤谷はその時、一つの箱を取り出しながら言った。

「今日さ、迷惑かけたけどそのお詫びに」

なんだ、それなら今は大丈夫だ。知った時は世界が震撼するほどの衝撃だったけど。藤谷は、俺の手前のテーブルに、小箱をスライドさせた。

初めての、女子からのプレゼントであった。こいつの事だから、本当は中身も、嫌がらせるものが入っているのかと覚悟していた。

その箱に、小さな指輪が入っているのを見るまでは。
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