spicy◇candy
机を叩きつける音と共に、藤谷は目を尖らせ立ち上がった。まさか、地雷でも踏んだのかと驚いたその刹那。

「杏奈は、雄大の良さを分かってないのよ。だからそんな事言ったんだと思う」

ハッとした。藤谷の目には、俺に敵対心を向けていた時とは違う、今度は倉井に挑むかのような力が宿っていた。まさかと思った。これは藤谷が俺の味方である確証だ。

「それってどうゆう意味」

分かってはいたが、聞いてしまった。鈍感なフリをするなんて、俺はやっぱりダサい奴だ。しかし、攻めも毒舌も感じない口調で藤谷の言葉は、解き放たれた。

「雄大の事、真面目に好き。当然、恋愛として好き」
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