spicy◇candy
しばらく、館内での部活を続けていたが、次第に太陽は姿を現し始めている。マネージャーの和美と、武都先輩の気合いのおかげかもしれない。お礼を伝えたいくらいだ。

「ありがとうございます!」

突然の感謝の一言に、武都先輩はビックリしていた。しかも俺に言われた為か、地味に戸惑いを見せていた。でも、力強く低いが優しさを感じる声が、こう告げた。

「礼とか要らねーよ、後輩の癖にやたら固くなりやがって。ってかもう俺怒ってねぇからな、雄大?」

何でだろうか。この安堵と充実感が身体中を今駆け巡っているのは、緊張が解けたからだろうか。先輩が珍しく俺を認めてくれた嬉しさからだろうか。

メンバーの声が、風に乗って俺を呼んでいた。笑顔でグラウンドに走ってゆく、俺の気分は爽快以外の何者でもなかった。
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