ぬいぐるみ
「わたしにはお姉ちゃんがいたの。


5歳年上の。


そりゃあもう美人でね、みんなからモテモテだったの。



ある日、そのお姉ちゃんがわたしにぬいぐるみを買ってきた。


とても可愛くてふわふわで、しかもお姉ちゃんから貰ったぬいぐるみ。大事に大事にするしかなかった。



それで毎日そのぬいぐるみと行動するようになって、気づいたらぬいぐるみがお姉ちゃんに見えてきた。




勉強も教えてくれる、優しくしてくれる、言う事聞いてくれる。もう完璧なお姉ちゃんだったの。




そのうちお姉ちゃんが2人になって、私も困惑し始めたころ、ぬいぐるみが話してきたの。





お姉ちゃんは1人の方がいいでしょ、って。





わたしは1人の方がいいからうんって頷いたの。






そしたらぬいぐるみは私の手から抜け出してたたたって走って実のお姉ちゃんに向かっていった。





そのあとはだいたい予想出来るでしょ?









私のお姉ちゃんは殺されたの。」






私の心臓は波打つしかなかった。
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