銀木犀
「えっ!」
すっごい驚かれた……。
あ、ありえない……って言いたいのが手に取るようにわかった。
し、しまった……。
「そ、そんなに驚かないでよー!」
私は動揺を隠そうと、つとめて平然に言おうとしたが声が震えてしまった。
気付かれたかな?
彼も動揺していたが、最後の方はもう普通だった。
「……い、いや」
なんだかすごく傷ついた。
そして傷ついた自分に驚いている。
普通だったらこれくらいじゃ私は傷つかないし、気にしない。
彼の驚いた顔を見たときの、私の胸に流れたこの痛み。
これはいったいなんだろう?