銀木犀
第7章 答え
私はこの提案に乗ったものの、何か心に引っかかるものがあった。
今まではこんなことはなかった。
いつものバカなイタズラ、なんてことのない提案。
何も気にすることはなかった。
自分の母親がターゲットだからじゃない。
お母さんだったら、こんなこと何とも思わないのはわかってる。
きっと、さらっと流して、最後はみんなで笑いあってるんだと思う。
今買ったケーキを頬張りながら、今年の夏は暑いね〜なんて会話をしてるんだと思う。
アイツもきっとそれがわかってるから、こういう提案をしたんだと思う。
隣で嬉しそうに笑いながら、夢中になって子供の様に話すアイツを見ている。
私はことさら大げさにその話に乗りながら、ぐんぐんとこみ上げてくる思いと戦っていた。
……ねえ……私ね……きっとね……たぶん……ね。