銀木犀
あの時から、あの教室での会話から、いつも何かに怯えていた。
一日一日顔を会わせる度に、ひとつひとつ言葉を交わす度に、反比例していくかのような気持ち。
嬉しい気持ちと怖い気持ち。
仲良くなればなるほど、相手の本心が分かればわかるほど、増していく私の中の恐怖。
それは日に日に私に圧し掛かってきた。
私はその重さに耐え切れなくなって潰れる前に、他の人とも付き合ったみた。
アイツはおめでとう! って言ってくれたな……。
どんなに探ってみても、その言葉には裏がなくて寂しかったな……。
こんな気持ちだから相手とは長続きしなくて、別れちゃった後、その度にアイツに説教された。
説教されながら、でも心のどこかでここに戻ってこれた安堵感に浸っていた。