銀木犀
「いやな、横じゃダメなんだよ。こう斜め後ろに、いつもの自分じゃあり得ないくらい小さくなって、若干こっちに寄り添い気味に座るのな」
「うん! うん! で? で?」
アイツの顔を見ながら私は大げさに喜んでみせる。
そうしていないと、そうやって気を張っていないと、私の中の何かが零れ落ちてしまいそうだった。
アイツがこういう顔を、こんな無邪気な顔を、私だけに見せてくれるようになったのは、いつからだろう……。