銀木犀
あの教室での出来事の後、私とアイツの仲は進展する事はなかった。
もちろん、私はアイツのことが苦手だったし、むこうも出来れば近づきたくないという気配が、態度にあからさまに出ていた。
そんな二人だったから、自分から近づく事はなかったんだけど、周りの環境は、そんな私たちのささやかな希望など聞いてはくれなかった。
秋から冬にかける季節になって、二人の所属するグループの関係が、所属メンバーのいろいろな紆余曲折を経て、近くなっていった。
周りの輪を崩さぬために、必然的に会話をするようになっていく二人。
間に必ず人を入れて、決して二人だけで話す事はないように注意していたんだけど、だんだんと不思議なことが起こるようになった。
それは不思議というにはあまりにも些細なことで、アイツが気づいてたかはわかんない。