銀木犀
第9章 決行
お母さんはいつもと変わらず、僕を居間へ案内してくれた。
二人が台所へ消え、買ってきたケーキとコーヒーを用意する間、僕は効果的に見える座り位置、角度などを色々と考えていた。
これからやる「いたずら」が意外な結末を迎えるとは、この時の僕はまったくわかっていなかった。
コーヒーとケーキを盆に載せた二人が帰ってくる。
それぞれのテーブルの前に、それらのものが置かれると、僕はおもむろに切り出した。
あてがわれていた座布団を外して床の上に正座。
ユカも打合せどおり、ぴったりと僕の斜め後ろに寄り添い気味に正座する。
そして僕はこう言った。
「お母さん……折り入ってお話があります……」