銀木犀

計画としては、この後、驚いてしどろもどろになったお母さんを見て、二人で、


「な〜んちゃって!」
「な〜んちゃって!」


と言ってこのいたずらは終わり……のはずだった。


確かにお母さんは、一瞬すごく驚いた顔をした。


(せ〜のっ!)


僕は体の動きでユカに合図を送る。


何度も呼吸を合わせたからばっちりだ。


「な〜ん……!」
「な〜ん……!」


だけど、僕とユカはその後のお母さんの表情を見て、次の言葉が出なかった。


お母さんはとても嬉しそうに、とてもしあわせそうな顔をしてこう言った。
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