熊に怯えて過ごす夜
自己紹介

悲しい。という言葉の意味を知りたい。
朝、目が覚めるとそう思った。
心が痛くて泣きたくなるような事。

昨日の夜は職場の同僚と五人で飲みに出掛けた。仕事が終わったらそれぞれ家に帰り、支度をしてから居酒屋で落ち合うことになっていた。
俺は家に帰らずに喫茶店で本を読んで時間を潰すことにした。蛭子さんの本を読んだ。

隣の席に若い男と若い女が向かい合って座っている。男が何か話していて女は微笑している。

ドキドキした。

そのときはそれが悲しいという気持ちだとは知らなかった。
今朝、意味を調べて知ったのだった。

あのとき確かに心が痛かった。今は痛くない。ということは今は悲しくないのだろうか。
きっと悲しくないのだろう。

晴れている。九月の朝。休日。遠くから金槌を打つ音が聞こえている。
とりあえず歩こうと思い支度をして外に出た。
近所をだらだらと歩いた。この街に住み始めて三年になるがまだ歩いたことの無い小さな道はたくさんある。初めて歩く道で見る景色。普通だ、、と思った。初めて歩く道での初めての景色なのにまったくドキドキしない。

言い忘れたが俺は刑事だ。にゃんにゃん刑事との愛称で親しまれている。

昨日はこんな会話をした。

「にゃんにゃん刑事!例の熊殺しの件なんですが!」

「何かわかったのか!」


「はい、、沖縄県警の沖さんから連絡があって、那覇市のパチンコ店の防犯カメラに熊殺しらしき女が映っているとの情報が」


「ついに姿を現しやがったか、、」


という会話をした。


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