爆発まで残り5分となりました
「紙?」
赤いインクで何かが書かれているみたいで、遠くからでもよく目立っていた。
徐々に近づいていくと、その文字……というより"形"が、はっきりと分かってきた。
「やじるしだ……何だろ、これ」
四人でそれを取り囲むようにして、じっと見る。
見たところ、それは上向きの矢印らしい。でも、少し形が崩れていて、何だか不格好。左右対称でもない。それも、書いていたものは、赤いペンキ、というより、……血だ。
「上って、何かあんの?」
悠真が上を向いてみるけど、特に変わったことはなく、天井に視線がぶつかるだけ。
天井の……の裏?
「あ。おい!夏仍!」
ちょうど頭上にあった蛍光灯を別の角度から見たけど、特に仕掛けも見当たらない。
やっぱり、天井、なのかな?
私はじっと、頭上を見上げていた。