爆発まで残り5分となりました
朱美が目を伏せて、震える声で呟いた。
「だって、夏仍。私達の卒業式は……昼までに終わっているはずなんだから」
「…………!」
背中に冷たいものが走った気がして、肩が震える。
あんなに、……爆発して、悲鳴が聞こえて……卒業式も終わってるはずなのに、苦情の電話の一つもないってことは。
校舎の異変にさえ、誰も、
───気づいていないってこと?
驚きのあまり、言葉が出なかった。
「そんな……いくらなんでも……」
酷すぎる。そう言おうとした時、遠くから「キャアアア」という悲鳴が聞こえて、私達は武道館のドアを見た。
「誰かぁ!誰か助けてぇっ!!」
甲高い声は、ギャラリーの方からだんだん近付いてくる。足音も速い。
え?退場はまだ先のはずじゃ……。