爆発まで残り5分となりました

朱美が目を伏せて、震える声で呟いた。



「だって、夏仍。私達の卒業式は……昼までに終わっているはずなんだから」



「…………!」



背中に冷たいものが走った気がして、肩が震える。




あんなに、……爆発して、悲鳴が聞こえて……卒業式も終わってるはずなのに、苦情の電話の一つもないってことは。



校舎の異変にさえ、誰も、


───気づいていないってこと?




驚きのあまり、言葉が出なかった。



「そんな……いくらなんでも……」



酷すぎる。そう言おうとした時、遠くから「キャアアア」という悲鳴が聞こえて、私達は武道館のドアを見た。




「誰かぁ!誰か助けてぇっ!!」



甲高い声は、ギャラリーの方からだんだん近付いてくる。足音も速い。



え?退場はまだ先のはずじゃ……。
< 185 / 674 >

この作品をシェア

pagetop