爆発まで残り5分となりました
「あら、こんにちは。小南さん」
「まぁ、佐山さんじゃない。こないだは、新鮮な苺、ありがとうね」
「いえいえ。それより、最近の──」
長いながーいお母さん達のお話が始まったので、私たちは顔を合わせる。
「どっちが足はやいか、きょーそうしよっか!せーのでいくよっ」
柚希が耳打ちする。
よぉし。夏仍と柚希の、ふたり運動会だ!
「せーのぉっ!」
私が走り出したその時。
柚希の頭を、誰かが帽子のうえからぐしゃっと掴んだ。
「ひぎっ」と、柚希の口から声が漏れる。あははっ、変な声だ。
「こぉーら、柚希。父さんをかけっこに入れないとはどういうことだぁ?」