爆発まで残り5分となりました
十、流星の背中
月光の柱が、無数の窓から伸びている。
ワックスで磨きあげられた、薄暗い廊下。画ビョウの跡の残った掲示板。
いずれ無くなってしまう。
小学校の時の、特別教室の位置を忘れたように。
ブランコがいつ塗装されて、新しくなったとか。昔たてた秘密基地に咲いていたタンポポが、まだ残っているのか、みたいな。
いつかはくだらない事になって、全てが思い出の欠片にすぎなくなってしまうんだろう。
「はぁ、はぁ……っ」
息を切らしながら、走る。
瞬く間に左右の景色が流れ、涙が後方に飛ばされていく。
「悠真ぁーーっ……!!」