悪魔くんとナイショで同居しています
「なっ……お前。離せよっ」
佐々原くんが手を引こうとしても、アーラは手首を掴んで離さない。
アーラは何をやっているんだろう?
「奏ちゃん……大悪魔様はお怒りだ。何があっても絶対、絶対に邪魔をしたら駄目だよ」
「えっ……?」
次咲くんが不気味な笑顔で呟いた瞬間、
「……ぅあっ」
アーラの拳が佐々原くんの腹部にめり込んだ。
「ひっ……!」
思わず……声が出ちゃったけど聞こえなかったみたいだ。
良かった……。
佐々原くんは痛みのあまりにうずくまろうとするけど、アーラがそれを許さなかった。
手を引き無理矢理立たせ、今度は顎に突き上げるようなパンチを入れた。
「ねぇっ、次咲くん!やっぱりこんなの駄目だよ!術者なんでしょ?早くアーラを止めてよ!」
黙って見ているだなんてそんなこと、やっぱり出来るわけがないよ。
例えそれがイジメっ子の佐々原くんであったとしても。
それが復讐だとしても、傷ついている人を見過ごすなんて私には出来ない。