悪魔くんとナイショで同居しています




「なっ……お前。離せよっ」



佐々原くんが手を引こうとしても、アーラは手首を掴んで離さない。

アーラは何をやっているんだろう?



「奏ちゃん……大悪魔様はお怒りだ。何があっても絶対、絶対に邪魔をしたら駄目だよ」

「えっ……?」



次咲くんが不気味な笑顔で呟いた瞬間、

「……ぅあっ」

アーラの拳が佐々原くんの腹部にめり込んだ。



「ひっ……!」



思わず……声が出ちゃったけど聞こえなかったみたいだ。

良かった……。



佐々原くんは痛みのあまりにうずくまろうとするけど、アーラがそれを許さなかった。

手を引き無理矢理立たせ、今度は顎に突き上げるようなパンチを入れた。



「ねぇっ、次咲くん!やっぱりこんなの駄目だよ!術者なんでしょ?早くアーラを止めてよ!」



黙って見ているだなんてそんなこと、やっぱり出来るわけがないよ。

例えそれがイジメっ子の佐々原くんであったとしても。



それが復讐だとしても、傷ついている人を見過ごすなんて私には出来ない。




< 111 / 360 >

この作品をシェア

pagetop