悪魔くんとナイショで同居しています
次咲くんは真っ直ぐ二人を見つめながら、
「どうして?これは制裁なんだよ?だって奏ちゃんは分からないよね?イジメられ続けた僕の気持ちなんて」
問いかけてきたその声は、感情の篭っていない冷たいものだった。
「それは……」
「母が作ってくれた弁当は捨てられ、教科書は破かれ……メガネも何度も割られた。アザも数え切れないほどできた。お金もあるだけ取られた」
次咲くんがこれまでに受けてきた仕打ちに言葉が出なかった。
それはきっと想像以上の苦痛で、私だったら絶対に耐えられないと思ったからだ。
かわいそう、なんて一言で片付けられない。
「アイツにとってはただのお遊びなんだよ。僕は苦しくて辛くて、毎日泣いて過ごしてるっていうのに」
だから許さない。
大悪魔様に不幸にしてもらうまで許さない。
「次咲くん……」
私が幸せにスクールライフを送っている裏で、次咲くんはそんな酷く辛い日々を送っていたなんて。
私……今まで何やってたんだろう。
イジメを見てみぬふりをしていたことに、罪悪感が増してきた。
そして私は憎悪にまみれた次咲くんを、止めることは出来なかった。