悪魔くんとナイショで同居しています




佐々原くんは抵抗すら出来ず、しばらくの間アーラに殴られ続けていた。



「他愛もねーな。もう降参か?あ?」

倒れ込んだ佐々原くんの前髪を掴み上げるという、極悪っぷりに思わず目を覆った。



早く終われ、早く終われ!

そう願い続けていたことがやっと実った頃には、佐々原くんはぴくりとも動かなくなっていた。



死ん……でないよね?



「じゃあな、哀れな人間」

アーラはまた猫に姿を帰ると、茂みの中に身を消した。



「佐々原くん……!」



急いで駆け寄ろうとすると、次咲くんに腕を掴まれた。



「しっ。待って……」

「でも佐々原くんが!」



血だらけになっている彼を放置なんて出来ないよ。

そう反論しようとしたけれど、口元に覆い被さってきた手によって阻まれた。



「見て。本物の田村だ」



次咲くんの視線の先を追うと、佐々原くんの元へ血相を変えて走り寄って行く田村くんがいた。




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