悪魔くんとナイショで同居しています
結局佐々原くんは田村くんの手を借りることなく、ふらふらしながら河川敷を離れた。
なんでこんなことになっているのか?
なんで拒否されるのか?
そんなことを思っていたのか……呆然と立ち続けていた田村くんの姿がしばらく頭から消えなかった。
「あっ……アーラ」
自室のドアを開けると、漫画を手にベッドで寝転ぶアーラの姿が目に飛び込んできた。
「よぅ」
……また漫画が逆さまになっちゃってるし。
字が分からないのに何で読んでるんだろう。
なんて疑問を胸に残したまま、それをぶつけることはせず濡れた髪を乾かす作業に徹することにした。
「今日は楽しいものが見れただろう?次はお前の番だからな」
「楽しいものって……」
河川敷での一件が?
楽しいわけないじゃないの。
とはアーラを前にして言えるわけもなく……。
座椅子に腰かけてテレビを眺めていると、
「なんだよ。不服そうなツラしてんな」
内に溜めていた不満を、見抜かれてしまった。